レストランは開放感に満ちた空間。木の温もりを感じさせるインテリアは、エレガントさと肩肘張らずにいられる居心地の良さを併せ持つ。

ディナーではジャンルにとらわれない料理を、オープンキッチンのライブ感とともに楽しめる。ゲストと時間を共有できる空間づくりも、見習いたいおもてなしのひとつ。

地元の新鮮な食材を使った料理は、味もさることながら、センス溢れる盛り付けで目も楽しませてくれる。使われている食器も、ベトナム製のものがほとんどだとか。

気さくで温かな接客もアゼライならでは。相手を想いやる心は自然と所作にも表れるもの。付かず離れずの程良い距離感が心地良い。ななえさんの顔にも自然と笑みがこぼれる。

カフェでは注文のメニューとは別に、焼きたてのパンや季節のフルーツでもてなされる。早朝に出かけた水上マーケットにも、朝食代わりにとパンやフルーツを持たせてくれた。しかも、手が汚れないようにとフルーツにはカトラリーが、またメイクが崩れないようにとペットボトルの水にはストローも添えられ、まさに至れり尽くせり。こちらの想いを汲んだ、期待の一歩先をいく“おもてなし”に脱帽。

メコンデルタは「食のバスケット」と呼ばれるほど、ベトナム中の新鮮な食物が集まる地域。エレガントに昇華させたベトナム料理や飲み物などが味わえるのも嬉しい。

静寂の中に佇む夜のバーカウンターでは、ベトナムの空気を肌で感じながら思い思いの時間を過ごせる。遠くに聞こえる虫の音や、肌を優しく撫でる微風も心地良い。都会の喧騒から離れて過ごすヴァカンスには、まさに最適な場所だ。

外の木々は日が沈むとともにライトアップされ、日中とは異なる顔を見せる。バーではそんな幻想的な雰囲気の中で、色鮮やかなカクテルを味わうことができる。

ゼッカ氏は、スペースにこだわり「AZERAI CAN THO」のコンセプトを考えていったという。プールにスパ、ジムやテニスコートなど設計にも抜かりはない。子供用のプールも備えるなど、誰もがそれぞれに時間を楽しめるリゾートなのだ。

実際に空間をつくるにあたっては、メコンデルタ地域の雰囲気を伝えるようなものをセレクトしたという。竹を編んだ壁や床のタイルなど、素材としても様式としてもベトナムの伝統的なものを工夫して取り入れていた。

その快適さを支えているのは、付かず離れず絶妙なタイミングで手を差し伸べてくれるスタッフたち。プールからあがれば、冷たいミネラルウォーターがすっと差し出され、散歩から戻ると部屋は綺麗に整えられている。それが本当に自然となされていることに、とにかく驚かされた。

もちろん、スパをはじめとする施設でのおもてなしもアゼライ クオリティー。上質な空間でゆっくり過ごすうちに、どんどん心が開放されていく。

温かなハーブティーをいただき、カラダの内から浄化されたタイミングでいよいよ奥の個室へ。

アロマオイルの優雅な香りが漂う静謐な個室でのマッサージ。窓の外には光あふれるガーデンが覗く、極上の癒し空間。

気持ちの良い贅沢時間はあっという間に過ぎていく。施設内には、無料で利用できるサウナも。性別も年齢も関係なく、きっと誰もが深い満足を得られるはずだ。

さらに、アゼライ クオリティーを維持できているのにはもうひとつ理由があった。「現地のリゾートであることを、何よりも大切にしたいというのが私たちの想いです。地元のスタッフが長く安心して働いてもらえる環境をつくることも、重要な要素だと思っています」そして、ヌーナン氏は次のように言葉を足した。

「この場所で働くということは、働く人のみならず、その家族の暮らしをも変えることになりますよね。今、アゼライ では150人程のスタッフがいます。地元のスタッフを雇用することは、地域の活性化にも繋がっているのです」

「私たちが持っているさまざまなスキルを若いホテルマンに伝えて育て上げ、いらしてくださるお客様に喜んでいただくことが私のモチベーションになっています。お客様にリフレッシュして帰っていただける場所となれたら嬉しいですね。これからも、お客様の声を反映させながら、アゼライ スタイルを探求し続けます」